中二病知識の集積場です

うえにはこれならぶものなし、これ恐怖おそれなきつくられたり」
これ一切すべて高大こうだいなるもの軽視かろんず、まこともろもろほこたかぶるものおうたるなり」

−「ヨブ記」41章 33節-34節より


「レヴィアタン」は仏語読みであり、「レヴィヤタン」とも表記される。
英語読みでは「リヴァイアサン」となる。
また、ヘブライ語読みならば「リヴヤタン」となるだろう。
イスラム教では主に「バハムート?」と呼ばれる*1が、最古の文献では本名(イスム)に「ルティーヤー」、添え名(クンヤ)に「バルフート」、あだ名・尊称(ラカブ)に「バハムート」を持つという。
マンダ教では「ウル」とも呼ばれる
「レヴィアタン(Leviathan)」はユダヤ・キリスト教の伝承に登場する架空の生物である。名前の意味は「曲がりくねったもの」。
とてつもなく巨大な魚や蛇、鰐や鮫、鯨として描かれることが多い。また、ティアマトやクラーケンと混同される場合もある。
イスラム教においては世界を支える巨魚*2として伝わっている。
その強大さはすさまじく、「旧約聖書」におけるヨブ記41章は全編にわたってこの幻獣について記されている。詳細*3は注釈に任せるが、それによると。

・石や鉄、青銅による武器を無力化する
・口から火を吐き、海を油の入った鍋のように煮えたぎらせる
・身を起こせば勇士であろうと慌てふためき、二度と立ち向かえない

などなどほぼ言ったもん勝ちレベルの強さを誇る。
ユダヤの伝承では海の王であり、また魚(海に住むもの一般)類を庇護する王であるという。ジズやベヒモスと並び神が5日目に創造した生き物で、審判の日に神がこれらを滅ぼし、義人(敬虔な信者)へ振る舞うという。
またあるいは神は彼らを直接滅ぼすのではなく、レヴィアタンとベヒモスと四つに組ませ、互いを殺し合わせることで義人へ振る舞うのだとも言われる(この場合ジズは省かれる)。
ほかの伝承によればレヴィアタンは雌であり、本来は番となる雄が居たが、繁殖してレヴィアタンが世界を覆うことを恐れたヤハウェが雄のレヴィアタンを殺し、代わりに雌のレヴィアタンを不死身にしたという。また、別の伝承ではもとはベヒモスとレヴィアタンは一対の番だったが、ヤハウェが繁殖しないように二頭を陸と海へ引き離したとも言われる。またジズ君ハブられてる……

グノーシス主義では宇宙を取り巻く世界蛇の役割を果たしており、ウロボロスと類似している。
マンダ教では闇の王「ウル」と同一視されている。が、これは単にレヴィアタンという言葉を「大いなるもの」ほどの称号として添えているに過ぎないとも考えられる。
マニ教の文献である「巨人の書」によれば、堕天使シャフミザード(シェミハザ)の息子たちによって、その勝利を誇るために殺されるという。
悪魔としてのレヴィアタン
上記のような強大さや、「誇り高ぶる者の王」などの呼び名、「神が増えることを恐れた」という伝承からか、中世以降レヴィアタンは高位の悪魔としてもよく知られるようになった。
コランド・ブランシーの「地獄の辞典」においては地獄帝国の海軍大提督にして蠅騎士とされており、詐欺を得意とする大嘘つきとある。
また。蛇との関連からか七つの大罪のうち「嫉妬」を象徴する悪魔だとも言われる。
ミカエリスの悪魔の分類においてはルシファー、ベルゼブブに次ぐ第3位の魔神であるという。
「アブラメリンの聖なる魔術の書」においてはルシファー、サタン、ベリアルと並び地獄に住まう4柱の上級王子*4(Four Superior Princes)と称される。
レヴィアタンとはヘブライ語で「花輪」を意味する「リヴヤ(Livya)」に行為者接尾辞(英語でいう「-er」)の「タン(tan)」が接続された複合語であるらしい。またほかの説としては「集まって壁をなす物」「引き出される物」を意味する言葉が転じたというものがある。転じてた巨大なものを指して「レヴィアタン」と呼ぶ場合もある。
伝承の由来としては様々なものがモデルとなっているようで、メソポタミア神話の女神ティアマト、その被造物にして後にユダヤ伝承や旧約聖書にも登場する怪物ラハブ、多神教時代のイスラエル人が信仰していたとされる蛇神ネフシュタン、ウガリット神話の海の神ヤム(ナハル)、大蛇リタンなど多岐にわたる。おそらく海の暴威を象徴する蛇のような怪物を調伏する、あるいは創造する神話を源流に持っているのだろう。
時に「最強の被造物」と称されるレヴィアタンだが、弱点がないわけではない……かもしれない。
それが「キルビット(Kilbit)」*5である
ユダヤ教の聖典「タルムード」の最初の章であるサバト(Shabbat)においてこのような記述がある。
(前略)5つの恐怖、すなわち、弱い者が強い者にかける恐怖がある。
(中略)そしてキルビットがレヴィアタンにかける恐怖である。
ここでいう「弱い者」は「強い者の持たない強さを持つもの」の暗示であるという。
あるラビの一人はこの記述を以下のように解釈している

レヴィアタンはその大きさと堅牢さゆえに、とても小さなキルビットがひとたび耳の中に入り込めば殺すことは難しい。体の中に入ってしまえばレヴィアタンが自身を傷つけない限りキルビットを傷つけることができないからである。こうしてレヴィアタンの耳の中に入ったキルビットは「主は一つ」と言い続け、レヴィアタンを暴力によってではなく、精神によって屈服させるのだ。

個人的にはイスラム教の説話に類似した事例(神が差し向けた小さな生き物が、巨魚の体内に入り込み屈服させた)があるため、この解釈はそれなりに正しいのではないかと思う。

バハムート? イスラム教におけるレヴィアタン
ベヒモスジズ それぞれ陸、空に住む同格の存在

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